崖っぷちギリギリ

勢いでローディになった三十路(インドア系)の日常

ひるね姫 ~知らないワタシの物語~

映画「ひるね姫 ~知らないワタシの物語~」オフィシャルサイト 神山健治監督初の劇場オリジナルアニメーション!を見に行ってきました(2019/04/01)。ネタバレ等気にせずに思うままに筆が滑っているので、気になさる方はこれ以上進まれないようお願いいたします。

 

 

 

 

 

Twitter情報でファンタジーの皮を被ったエンジニア物語である、や、れっきとしたロボットものである、など色々と聞いていたのですが、まさしくその通り、でした。あらすじ等は公式サイトをみていただくとしまして。

 

親と子の絆を描いた、とか、夢の世界と現実との暗喩等、スルメのごとく何度みても楽しめる映画とは思いますが、私としましてはエンジンヘッドとハーツに是非とも注目してもらいたい、と思います。

 

 夢の世界で「鬼」に対抗すべく、王様がつくったエンジンヘッド。各駆動部分に操舵兵が配置され、自転車式動力部で動く、という、最新式の機械ってなに? アナログの極み!? 張り紙の日本語っぷりすげぇ、ガンバスター(違)!!

一目見たときから「やばい、操舵兵になりたい!!」と心の底から思うほど細かいところまで作り込まれているすばらしさに感動しましたよ。

 

そりゃ現実との暗喩を考えると、融通が効かなくなりつつある大会社とかに当てはまる、とかになるんでしょうが、そういうことは頭から払いのけましてね。夢の世界の中とはいえ、どこまでも昭和の匂いが満載(指揮官がどっかで見たような気がする出で立ちだなぁ、とかね)のエンジンヘッドの造型と動きっぷりは感動ものでございます。

 

その後の新型エンジンヘッド。こちらはまるで主人公機のようなカラーリング、スマートさにこちらはこちらで感動。内部様式もきっちり進化していて(でも自転車式動力部に変化なし)満を持して登場、さすが主人公機、てな感じです。各駆動部分に操舵兵いないですし。

 

そしてハーツ(S-193 HEART)。サイドカーとしての造形もさることながら、魔法の世界での変形後のころっとした造形。関連商品でプラモデルとかでませんかね? ちょっと、いやかなりほしいです。

地味めの外見に反し、最初から最後まで(ついでにエンディングも)立て役者であり続けた彼(もしくは彼女?)は、途中退場したように見せかけ、さりげに重要な1シーンを見せつけ、最後に大活躍。彼こそがこの物語の「絆」の一つといえましょう。

 

たとえば。

自動運転ができると判明した後、モリオに自宅帰宅させられたにも関わらず、本社に出現した彼。つまりこれは彼に登録されていた自宅が「=本社」であった、と考えられます。誰がそれを登録したのか? 自動運転のオリジナルデータの制作者であるイクミが登録したものをそのまま訂正変更せずに引き継がれてきたのか、それともモモタローが登録したのか。映画ではどちらかわかりませんし、どちらであっても「いつかは確執を乗り越えたい」という気持ちがあった上での登録なのでしょう。今は切れている絆をつなげるための一手がここにあります。

 

また、ペワン(あえてペワンと書きます)の悪しき魔法で「鬼」が黒い鳥に変化し国が炎上していくシーンですが、それを鎮めていくのもハーツ(とココネ)です。

 

SNSで拡散された情報(「鳥」の暗喩を考えるとTwitterなんでしょうね)の炎上をどうやって鎮火させていったのか、と現実との関係を考えると、ここで生きてくるのがさしこまれた一瞬のシーン「渋滞待ちをしている自動運転中のハーツ」です。

Twitterをしていたらわかりますが、なんか目立つものをスマホで撮影、投稿。てのは、呼吸をするよりもたやすくできるようになった世の中です。オリンピック直前の未来だってそれは変わらないでしょう。

 

自動運転中のサイドカーが運転手なしで走っている、それも志島自動車の最初の車種が。オリンピックで全自動運転機能付きの車で選手を送迎する予定がある会社の。

 

そりゃまぁ、撮影して拡散しますわ。私がその渋滞に巻き込まれてた一般人の一人であったら、確実に撮影、投稿しますよ、えぇ。

それが現実における炎上鎮火につながり、夢の世界でのハーツの活躍につながったのではないかな、と考えると、なんというか楽しくなりますよね。

 

ハーツのおかげで主人公等の家族の絆はつながり、エンディングにつながっていく。ここの流れの妙はさすが、としかいえません。

 

まぁ、そんな難しいことは考えず、エンジンヘッドかっこいい、ハーツかわいい、だけで十分に楽しめる映画なのでオススメです。